
当寺26代目の住職中野英明(なかのえいみょう)と申します。
ある晴れた初夏の日の午後、中学生と思われる二人の少女がお寺を訪ねて来て、「庭を掃除させてくれませんか?」と言うのです。
突然の訪問、その申し出に驚き、私は「有り難いですが、一体どうしたのですか」と尋ねました。
少女たちは「いろいろなことがあって、少し心が汚れてきたから、庭を掃除して、心を清らかにしたい」と言うのです。
少女たちは、一生懸命に庭を掃除し、額から流れる汗をぬぐいながら、爽やかな表情を浮かべておりました。
掃除が終わったところで、「お茶をどうぞ」と言って、本堂に招き入れたのです。
二人は素直に「はい」といって、おいしそうにお茶を飲み、やがて、本堂の窓から庭を眺めて、「お寺はいいなあ、心が洗われる」というのです。
私はその言葉を聞いて、これがお寺の役目だと思ったのでした。
法事や葬儀の時だけでなく、いつでも気楽にお寺に立ち寄り、心和ませる、そんなお寺にしたいと思っております。
蟠龍寺25代目 住職
中野 英明