お盆に入る前のある午後、境内を掃除していたときに、一人の青年に声を掛けられました。「もも子のお墓に手を合わせて来ました」と言うのです。
話を聞くと、もも子とは少年院で会ったというのです。もも子が生きていた頃の事ですので、少なくても十年近くは経っていると思いますが、その青年が何気なく立ち寄った当寺に「もも子のお墓」があるのを知り、少年院に入院していた時に、もも子と触れ合ったことを思い出し、お参りしたと言うのでした。
年に1,2回、犬仲間の方々と一緒に盛岡少年院にワンちゃんを連れての触れ合い活動をしていたので、当時入院していた少年の中の一人だったのです。
近況を聞いたところ、「きちんと仕事をしている」との返事でしたので、今後も道を踏み外すことなく、更生していくことを信じたいと思いました。
触れ合い活動をしていた時の少年たちの笑顔は今でも忘れられません。施設の教官が「ワンちゃんと触れ合っている時の少年たちの笑顔は、普段見せることのない本物の笑顔だ」と言った言葉を思い出しました。
