住職の徒然日記

2013/07/22
ある少年からの手紙

ある日、お寺に一人の少年が二名の教官に伴われ、やって来ました。その少年は間もなく盛岡少年院を出院するので、社会に復帰する心構えを教えて欲しいと言うのでした。

そこで、お釈迦さまのお言葉を引用し、「おのれこそ おのれのよるべ おのれを措(お)きて 誰によるべぞ よくととのえし おのれにこそ まことえがたき よるべをぞ獲(え)ん」と、つまり「自分を依りどころとせよ」と話ました。

あなたが仲間と群れて、集団で人を傷つけているときは、本当の自分を見失い、相手を思いやることのできない自分がいた。今、お寺に来ているあなたは、本来の素直な優しい自分になっている。その整ったおのれを依りどころとして、社会に復帰して欲しいと話したのでした。

お昼になったので、お寿司とケーキを用意しました。少年は美味しそうに食べ、やがてお寺をあとにしました。

後日、少年から手紙が届きました。「過日はお忙しい中、ためになるお話、元気づけられるお話を有り難うございました。私は仏教の本などを読み、学ぶべきものが沢山あると感じました。以前の私は、自分だけ良ければいいという考えでした。でも、これでは人とうまくやっていけるはずもなかったのです。 お昼にはお寿司を頂いて大変恐縮です。一年ぶりのお寿司は本当に美味しかったです。ケーキも四つも頂いて、食べてばかりで申し訳ない気持ちです。私は、もうあと何日かで出院です。社会ではこの少年院生活で学んだ事を生かし、もっと、色々なことを学び、体験し、自分を向上させるよう頑張ります。人に振り回されずに、自分を整え、自分を依りどころとして、自分の道を歩きます。有り難うございました」。私はこの手紙を読んで、その少年は立派に更生しているものと信じております。